天地明察 今有図如

ふと思ったのだが && 重箱の隅をつゝく様で申し訳ないのだが、
「今有図如」は「今有如図」の間違いではなかろうか?
漢文 || 中国語 は堪能ではないので、断言はできないが、そんな気がする。
まっ、3〜4行目が読み下し風になっているので・・・和漢折衷ということで・・・。

     

— posted by nitobe at 10:51 pm   commentComment [0] 

 

天地明察 蝕交問題

「天地明察」P142-143の蝕交問題
 
 今有図如
 大小方及日月円蝕交
 大小方界相除シテ七分ノ三十寸
 問日月蝕ノ分

この問題が「無術」となった原因は、「大小方界相除シテ七分ノ三十寸」にある。「長さ」割る「長さ」は「比率」なので単位はない。「寸」はおかしい。(ラジアンが微妙な立場なんだが・・・円周割る半径。んなもんで「補助単位」という半端な扱いを受けている。)それは置いといて、この条件を無視し、大円の半径を1(寸でもメートルでもいいんだが)として作図してみる。
tm8


何のひねりもなく、1-(1/sqrt(2))≒0.292893219…であることがわかる。
 
これは、日半径=小方辺 という特殊な場合である。
日径を明示せず、大方、小方を固定した場合、蝕分は不定である。
tm10


 
冲方先生の解説を引用しておこう。
 
====以下「天地明察」第五版P159L7-L15引用
 第一に、術を求めてゆくと、正と負の数の、複数の解答があり得た。昨今では、ときに算術において、複数の答えが導き出される場合があることは広く知られるようになっている。だがそれらは”病題”と呼ばれ、あくまで”一問一答”こそが算術の王道とされた。
 第二に、これは術そのものに矛盾を抱えていた。大小の方の辺の比は、春海が用意した答えでは偶数と奇数になる。そうでなければならない。だが小方と大方の比を求めてゆくと、にわかに矛盾が発生する。
 大方の一辺は、すなわち小方の対角線であり、偶数である。そして小方の対角線は、奇数である。これらが同時に成り立ってしまう。奇数であると同時に偶数である。術を工夫すればするほどそうなる。完全な矛盾だった。なぜそんなことが起こったのか。
====以上引用
 
何の説明なのか、さっぱりわからない。sqrt(2)は整数ではないので、術を工夫しなくても、奇数でも偶数でもない。
 
日月があろうがなかろうが、大方界/小方界は、sqrt(2)であることは明白である。
tm11



30/7 ≠ sqrt(2)
無術
 
以上、終わり。
 
春海君が用意した答えが気になる。また、解答さんが何故斯様な問題を野放しにしたのかが腑に落ちない。
 
====以下「天地明察」第五版P156L9〜L12引用
 日月の蝕交の分は、実は七と二十三の平方根を足して、四で割ったものになる、ということまで晴海は安藤に話した。七と二十三は足して三十。”七分の三十寸”にあくまでこだわった答えだった。だが、ただ七と二十三を足すのではなく、それぞれ開平させてから足させるところに自分なりの工夫と主張があった。
====以上引用
 
・・・(絶句)かくして、更にどつぼにはまって行くのであった。

       


— posted by nitobe at 05:19 pm   commentComment [4] 

金王八幡宮

金王八幡宮Link へ行って来た。
kinnou


渋谷区渋谷3-5-12

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件の算額

斗>箕>尾>心>房>氐>亢>角
奎>壁>室>危>虚>女>牛>

今有如圓宿名一十五球
只云角亢二球周寸相併
一十六寸又云心尾箕三
球周寸相併三十寸重云
虚危室壁奎五球周寸相
併六十三寸問角球周寸
幾何
荅曰七寸七分六厘三毛三糸二忽一微有奇

術曰依方裎招差術得初
數六十九個中數五千三
百九十五箇定數七万九
千七百六十個列初數依
減中數加定數以一万九
百六十個除之得角球周
寸合問

關流 水埜興七郎正衜門人
中渋谷村
嘉永三年戌五月吉日 海老澤總右衛門正泰
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如図 中圓径九寸
   小圓径四寸
大圓径幾何問
荅 三十六寸
 
術曰置中圓径除小円径
開平方内減一箇自之以
除中圓径得大圓径合問
關流
 水野興七郎門人
  野口冨太郎
    源 貞則
元治年甲子年十一月吉日
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今有如圖交畫大員一个中
員二个而其罅容小員六个大
員径五百九十三寸問中
員径幾何
 荅曰中員径四百六十三寸有奇
術曰置一十七个平方開
之内減一个餘乘大径四除之得中径合問
−−−−
今有如圖方内容橢員一个等
員二个等方四个等員徑七千三
百九十二寸問等方面幾何
 荅曰等方面 七千六百七寸有奇
術曰置五个平方開之加二
个平方開之乗等徑半之得
等方面合問
−−−−
今有如圖員缺内隔弧背容
甲員一个乙員三个甲員徑五寸
乙員徑四寸問弦幾何
 荅曰弦一十六寸
術曰以乙徑除甲徑内減一
个餘平方開之以除乙徑倍
之得弦合問
−−−−
關流宗統六博
御粥安本門人
西條藩 山本庸三郎貴隆撰
安政六年己未四月
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— posted by nitobe at 10:36 pm   commentComment [0] 

 

天地明察 招差術問題 #2

「天地明察」P236の問題が「無術」ではないか?という件。つづき。
算額問題だから、数列に法則があることは暗黙の前提である。
しかし、敢えて「数列は任意」とすると、

角<亢<氐<房<心<尾<箕<斗<牛<女<虚<危<室<壁<奎
角+亢=10、心+尾+箕=21、虚+危+室+壁+奎=40
星 番 子 母 子/母(周) 条件
−−−−−−−−−−−−−−−−
角 1  30 7 4.285714286 +
亢 2  40 7 5.714285714 10
氐 3  46 7 6.571428571
房 4  47 7 6.714285714
心 5  48 7 6.857142857 +
尾 6  49 7 7.000000000 +
箕 7  50 7 7.142857143 21
斗 8  51 7 7.285714286
牛 9  52 7 7.428571429
女 10 53 7 7.571428571
虚 11 54 7 7.714285714 +
危 12 55 7 7.857142857 +
室 13 56 7 8.000000000 +
壁 14 57 7 8.142857143 +
奎 15 58 7 8.285714286 40
 
角<亢<氐<房<心<尾<箕<斗<牛<女<虚<危<室<壁<奎
角+亢=10、心+尾+箕+=27.5、虚+危+室+壁+奎=40
星 番 差  周  条件
−−−−−−−−−−−−−−−−
角 1  ---- 4.5 +
亢 2  -1.0 5.5 10
氐 3  -0.4 5.9
房 4  -0.3 6.2
心 5  -0.3 6.5 +
尾 6  -0.3 6.8 +
箕 7  -0.2 7.0 +
斗 8  -0.2 7.2 27.5
牛 9  -0.2 7.4
女 10 -0.2 7.6
虚 11 -0.2 7.8 +
危 12 -0.1 7.9 +
室 13 -0.1 8.0 +
壁 14 -0.1 8.1 +
奎 15 -0.1 8.2 40
 
んん・・・むりやりだなぁ。

       

— posted by nitobe at 08:35 am   commentComment [0] 

天地明察 招差術問題

「天地明察」P236の問題が「無術」ではないか?という件。
奇想庵Link 」(奇天さんとその常連さんたち)が精力的に考察されてる。
03.11『天地明察』算術の問題Link (cocoさんの04.12の投稿)疑惑の発端
04.20『天地明察』の問題は誤植か否か?Link
04.21『天地明察』招差術の問題についてLink
 
1.この問題は、渋谷の金王八幡神社所蔵の算額を元にしている。(もっもさん)
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/shibuya/town/kubunka.html#sangakuLink
第31回吉川英治文学新人賞受賞特設ページLink 」(角川)にもある。いちばん下の「天地明察散歩 金王八幡宮の算額」の中央。
2.鳴門教育大学の菊地章氏,井出健治氏による1.の解法が存在する。(cobozeさん)
http://www.naruto-u.ac.jp/journal/info-edu/j05006.pdfLink
「一般項を想定した連立方程式」という考え方は、目からウロコなのだが、この文書の行列方程式には誤植がある。
an = pn^2 + qn + r を想定する。
 
a1 = p + q + r
a2 = 4p + 2q + r

a5 = 25p + 5q + r
a6 = 36p + 6q + r
a7 = 49p + 7q + r

a11 = 121p + 11q + r
a12 = 144p + 12q + r
a13 = 169p + 13q + r
a14 = 196p + 14q + r
a15 = 225p + 15q + r
 
a1+a2 = 5p + 3q + 2r = 16 ・・・(1)
a5+a6+a7 = 110p + 18q + 3r = 30 ・・・(2)
a11+a12+a13+a14+a15 = 855p + 65q + 5r = 63 ・・・(3)

(1)(2)(3)を行列方程式で表すと

|p| |  5  3 |−1 |16|
|q|=|110 18 3|   |30|
|r| |855 65 5|   |63|

Excelに計算させると、
532
110183
855655
A^-1
0.00958-0.010490.00246416-0.006369
-0.183850.153741-0.0187300.492245-5395
0.751825-0.204380.021898637.277372-79760
7.763321-85086
-10960
-85086 / -10960 = 7.763321
「答曰七寸七分六厘三毛三糸二忽一微有奇」に合致する。
 
この手法で「天地明察」の角+亢=10、心+尾+箕=27.5、虚+危+室+壁+奎=40 で問題を解くと、
1 4.320711679 +
2 5.679288321 10
3 6.849452555
4 7.83120438
5 8.624543796 +
6 9.229470803 +
7 9.645985401 27.5
8 9.874087591
9 9.913777372
10 9.765054745
11 9.427919708 +
12 8.902372263 +
13 8.188412409 +
14 7.286040146 +
15 6.195255474 40
となるが、1<2<3<4<5<6<7<8<9<10<11<12<13<14<15 の条件を満たさない。
したがって、この問題は「無術」である。
tm7



想定する式を、an=pn^3+qn+r とか、an=pn^4+qn+r にして a1 を 30/7 や 4.5 に近づけるという手もあるが、a5〜a7の平均が、a11〜a15の平均より大きいことが致命的である。16.4<心+尾+箕<20.2 または、60.7<虚+危+室+壁+奎<160 だったら大小関係はクリアするが、やはり「角」は、30/7 でも、4.5でもない。
tm9



あとは前回の、角+亢=10、心+尾+箕+=27.5、虚+危+室+壁+奎=40
sqrt(n-1)+4.5 の小数点以下3位以下切捨、2位切上
roundup(rounddown(sqrt(n-1)+4.5,2),1)
1 4.5 +
2 5.5 10
3 6
4 6.3
5 6.5 +
6 6.8 +
7 7  +
8 7.2 27.5
9 7.4
10 7.5
11 7.7 +
12 7.9 +
13 8  +
14 8.1 +
15 8.3 40
角は、4.5
 
他に、可能性はあるかなぁ・・・。

       

— posted by nitobe at 12:15 pm   commentComment [0] 

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